AALA Forum 2008(第16回)

「アジア系アメリカ文学批評の新潮流」

日時:2008年9月13日(土)~ 14日(日)
場所:シンポジウムのみ共立女子大学本館1524A その後学士会館へ移動(いずれも神田神保町)

第1日目 9月13日(土)
総合司会 稲木妙子(共立女子大学)
12:30 ~ 受付
13:00 開会の挨拶 植木照代(神戸女子大学)
13:15 ~ 17:00 シンポジアム
司会 小林富久子(早稲田大学)
パネル
村山瑞穂(愛知県立大学)
吉田美津(松山大学)
河原崎やす子(岐阜聖徳学園大学)
17:30 ~ 19:00 夕食・懇親会 学士会館302号室
司会 深井美智子(神戸女子大学)
19:30 ~ 21:00 夕べの集い
リナ・ホシノ監督 Caught in Between(「故郷(くに)」をなくした人々)
解説 神田稔

第2日目 9月14日(日)
9:30 ~ 11:00 特別講演
司会 山本秀行(神戸大学)
講師  「サローヤンの贈りもの」 菅啓次郎(明治大学)
11 :00 ~ 11:30 総会
司会 有馬弥子(恵泉女学園大学)

11:30 ~ 13:30 ランチョン
 
13:30 閉会の辞 小林富久子(早稲田大学)

<シンポジウム「アジア系アメリカ文学批評の新潮流」概要> 
例年のシンポジウムは作品または作家に焦点を当てるものが多かったが、本年は趣向を変え、アジア系アメリカ文学に関する批評の動きに光をあてる。周知のように、Frank Chin のAiiieeeee! における序文がアジア系文学批評の幕開けを意味したとすれば、アジア系文学批評はすでに30年余の歴史を積み重ねたことになる。その間、チンを中心とする男性批評家たちとElaine Kim, Sauling Wong等の女性批評家間に勃発したいわゆるアジア系ジェンダー論争、さらには、新移民の急増に伴うアジア系コミュニティの多様化から生じた「アジア系アメリカ文学」の呼称にまつわる論争など、アジア系批評界は、時代の推移とともに、数々の多彩な論議を経てきている。実際、アジア系文学研究に携わることの大きな喜びの一つは、人種、エスニシティはもとより、フェミニズム、ポストコロニアリズム等、最先端の理論に遭遇し、その都度豊かな読みを行いえることにもあると言って過言ではないだろう。そうした中で、21世紀を迎えたばかりの現在、アジア系アメリカ文学批評には新しい潮流が生じているように見える。その動きの一旦を、3人のパネリストの発表を通して浮かび上がらせることが、本シンポジウムの狙いである。具体的には、村山瑞穂氏が精神分析批評とアジア系文学研究について論じた後、吉田美津氏がエコロジカル批評とアジア系文学の関係について考察し、最後に河原崎やす子氏がフィリピン系批評家間のポストコロニアル意識における新しい論点を扱う予定である。
今後のアジア系文学批評のあり方も含め、フロアともども、活発な論議が展開されるのを期待している。(コーディネーター:小林富久子)

<講師プロフィール>
菅啓次郎 明治大学教授 比較文学、カリブ海域研究
著書:『ホノルル、ブラジル』『オムニフォン<世界の響き>の詩学』『コヨーテ読書』