『アジア系トランスボーダー文学ーーアジア系アメリカ文学研究の新地平』(小鳥遊書房、2021年)

『アジア系トランスボーダー文学――アジア系アメリカ文学研究の新地平』

【本の内容】
アジア系アメリカ文学から「アジア系トランスボーダー文学」へ
アメリカとアジアの間を往還する「世界文学」としてのアジア系文学、SF、グラフィック・ノベル、クイア文学、原爆文学など、ジャンル的な広がりをみせるアジア系文学、エコクリティシズム、マルチカルチュアリズム/マルチレイシャリズム、インターレイシャリズム、人種的ハイブリディティ、ポリカルチュアリズムなどの特徴を持ったアジア系文学……。領域的・地理的のみならずジャンル的・パースペクティヴ的にもトランスボーダー化した文学を「アジア系トランスボーダー文学」として研究を進展させる論集。


【目次】
序 アジア系アメリカ文学研究の新地平を目指して/山本 秀行(編集代表)
第Ⅰ部 領域的・地理的トランスボーダー化するアジア系文学研究
第1章 ヴェトナム系アメリカ難民の文学――創造と再生/麻生 享志
第2章 初期アジア系アメリカ文学のトランスボーダー性――スイシンファーの作品を再読する/松本 ユキ
第3章 日系日本語文学におけるトランスボーダー性――移民地文芸の探求において/水野 真理子
第4章 野口米次郎の翻案探偵小説探訪――『幻島ロマンス』(一九二九年)の東京府地図/宇沢 美子
第5章 根(ルーツ)を下ろす場所を求めて
    ――トランスボーダー文学としてのジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』/志賀 俊介
第6章 ボルヘスとオースティン
    ――カレン・テイ・ヤマシタの『三世と多感』における迫害言説への抵抗/牧野 理英
第Ⅱ部 アジア系文学のジャンル的トランスボーダー
第7章 SFとしてのアジア―アジアSF前史――ディック、ロビンスン、チャンへ至る歴史改変想像力/巽 孝之
第8章 アジア系グラフィック・ノベルの現在/中地 幸
第9章 二一世紀のアジア系セクシュアル・マイノリティ文学――交差する人々の物語/渡邊 真理香
第10章 アジア系詩人フレッド・ワーの実験詩
    ――『センテンスト・トゥ・ライト』における「ハイフネーション」の機能/風早 由佳
第11章 日系文学と原爆
    ――ナオミ・ヒラハラの〈マス・アライ〉シリーズにみる放射能汚染とポスト植民地主義の言説/松永 京子
第Ⅲ部 トランスボーダー化するアジア系文学の研究パースペクティヴ
第12章 人新世における共生の物語――ヒロミ・ゴトーの『ダーケスト・ライト』/岸野 英美
第13章 ヴェリナ・ハス・ヒューストンの戯曲にみる多文化多人種の象徴としての「茶」の役割/古木 圭子
第14章 日系カナダ人と先住民の交差――ジョイ・コガワの小説から考える/加藤 有佳織
第15章 人種ハイブリッディティから生じる不安と超克
    ――ニーラ・ヴァスワニの『あなたが私に国をくれた』/ウォント盛 香織
第16章 フレッド・ホーの〈アフロ・エイジアン・コネクションズ〉にみる
    ポリカルチュアリズムとその新たな可能性/山本 秀行
あとがき
索引

書籍情報は小鳥遊書房HPより
https://www.tkns-shobou.co.jp/books/view/364